デラホーヤ観戦記(2007年)

至福の時

やはりビッグファイトはマイケル・バッファーのアナウンスを聞かずしては始まらない。

「Let's get ready to rumble ~ !!」
それに続いてあった両者の紹介を聞いた時、 観衆のボルテージは急上昇して最高潮に達していた。
ゴング直前、レフェリーから注意事項の説明を受ける際、 いつものデラホーヤは必ずといっていいほど天井に顔を向けて相手とは決して視線を合わさない。
しかし、この日は違っていた。目の前のメイウェザーとの間に火花が散っていた!
まさに一触即発。

場内にフラッシュが溢れる中ついにゴングが鳴った。「カァ~ン」

第1Rからスピードに勝るメイウェザーが主導権を握るかと思ってたが、意外や意外、実際にはデラホーヤがプレッシャーをかけていた。
メイウェザーは様子を窺うばかり…逆に体格差を活かして前にどんどん圧力を強めボディブローを連発するデラホーヤ!
観衆もその姿を後押ししているようだった。
一抹の不安があるとすれば、後方の席で見るのと間近で見るのではギャップに差があることだ。
内心はデラホーヤが優勢と感じつつも、実はメイウェザーのディフェンスにヒョイヒョイとパンチをかわされ一発もヒットしていないのではないか…?

その不安を払拭してくれたのが隣のファンだった。
「10R終わってデラホーヤが9R取ってるな!メイウェザーはたったの1Rさ…」
それを聞いてどんなに勇気づけられたことか。
気掛かりを言えば5Rにカウンターを喰ったデラホーヤが中盤から失速したことだ…12ヶ月のブランクに33才という年齢も影響してるのかな。

アッという間に12R終了を告げるゴングが響いた。
デラホーヤの勝利を期待しても確信があるわけではなかった…
マイケル・バッファーからの採点結果を聞き逃すまいと静まりかえる場内、一瞬の緊張。その直後、歓喜の声とブーイングが交錯していた。
それが2人の接戦を物語っていた。判定は2-1でメイウェザーに凱歌があがったのだ。
そして世紀の一戦は幕を閉じた